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訴訟が取り扱える問題には限界があります(3)

  • 2015年05月17日 09:20
  • カテゴリ: ブログ

「法律上の争訟」とは、当事者(これが原告と被告ということになります)の間に生じた具体的な事件であって、しかも、それに法律を適用することによって解決できるものを言います。

例えば、Xは、「Yに対し金を貸したがYは返さない」と言い、Yは「この金は貰ったものだ」と言っているという場合、これはXとYという当事者間に生じた具体的な紛争であって、これについては訴訟(裁判)において証拠をもって事実を認定することにより、Xは金を貸したのか、それとも贈与したのかが決まり、貸したのであれば、民法に基づき、「YはXに対し、借りた金を返せ」という内容の判決を出すということになります。まさに、「当事者間に生じた具体的な事件であって、法律を適用することによって解決できるもの」ですから「法律上の争訟」と言えます。

では、「集団的自衛権についての閣議決定」については、誰と誰との間に具体的な紛争が生じているのでしょうか?法律を適用することによって解決できる紛争でしょうか?

「集団的自衛権についての閣議決定」の段階では、法律を適用することによって解決できるような具体的な紛争はどこにも生じていない、だから「法律上の争訟」とは言えず訴訟(裁判)にはならない、従って、「集団的自衛権についての閣議決定」そのものを訴訟(裁判)の場に持ち出すことはできない、ということは「違憲審査」もできない・・・ということになるのです。

「法律上の争訟」にならなければ訴訟(裁判)には出来ず、「違憲審査」もできないのでは、違憲問題を未然に防ぐことにはならないじゃないの?と歯がゆく思われるかもしれませんが、そのとおり、訴訟(裁判)と言う制度は、原則的には、特定の紛争について発生後の処理を行うものであって、あるべき姿を抽象的に事前に実現する機能を持っている訳ではない、そこが訴訟(裁判)の限界であると言わざるを得ません。

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